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「家賃保証」の落とし穴|サブリース契約の前に確認する10項目

制度は変わることがあります。手続きの前に公式情報もご確認ください。

投資用のワンルームマンションやアパート建築をすすめられて、「家賃保証があるから安心」と言われた人に向けた記事です。サブリース(一括借上げ)の仕組みと、契約の前に書面で確かめたい10項目、困ったときの相談先を、法律の条文と国の資料をもとにまとめました。

この記事のポイント(結論)
  • 「家賃保証」と書かれていても、家賃は下がることがあります。借主であるサブリース業者は、法律にもとづいて家賃の減額を求められます。
  • 契約期間・更新・解約の条件は契約ごとに違います。オーナーの側からは簡単にやめられない場合があります。
  • 契約の前に、業者から渡される「重要事項説明」の書面で、家賃の見直し、費用の分担、解約の条件を必ず確かめましょう。
この記事は一般的な仕組みの説明です。特定の物件・会社・契約をすすめたり、反対したりするものではありません。個別の契約を結ぶかどうかは、弁護士、税理士、宅地建物取引士などの専門家や、公的な相談窓口に相談して判断してください。

サブリース(家賃保証)の仕組み

サブリースでは、オーナー(あなた)が持つ部屋や建物を、サブリース業者がまとめて借ります。業者はそれを入居者に又貸し(転貸)し、入居者から家賃を受け取ります。オーナーは、業者から決まった額の家賃を受け取ります。

空室があってもオーナーには家賃が入る、管理の手間が少ない、といった良い面があります。一方で、消費者庁や国土交通省は、家賃の減額をめぐるトラブルが起きているとして、注意をよびかけています。

ここで大切なのは、サブリース業者は「借主」だという点です。借主を守るための法律(借地借家法)は、業者の側にも使われます。これが「家賃保証なのに下がる」「オーナーからはやめにくい」の理由です。

サブリースの仕組み。オーナーがサブリース業者に部屋を貸し(特定賃貸借契約)、サブリース業者は借主として決まった額の家賃をオーナーに払う。サブリース業者は入居者に部屋を又貸し(転貸)し、入居者から家賃を受け取る。 オーナー(あなた) サブリース業者★ 業者は「借主」 入居者 ↓ 部屋を貸す(特定賃貸借契約)↑ 決まった額の家賃↓ 部屋を又貸し(転貸)↑ 家賃を払う
サブリース(一括借上げ)の仕組みを示した概念図です。矢印の向きは、部屋(↓)と家賃(↑)の流れです。色の付いた枠と★は、サブリース業者が「借主」で、借地借家法で守られる側でもある点です(家賃を下げるよう求められる理由)。出典:本文「サブリース(家賃保証)の仕組み」

サブリース新法でできたルール

2020年に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(令和2年法律第60号。以下「サブリース新法」)ができ、サブリース業者に次のルールが決められました(2026年9月29日時点でe-Govの条文を確認)。

条文中身
第28条
誇大広告等の禁止
家賃の額や変更、維持保全(点検・修繕など)の方法、費用の分担、契約の解除について、事実と大きく違う広告や、実際よりずっと有利だと思わせる広告をしてはいけません。業者から勧誘を任された会社(「勧誘者」)も対象です。
第29条
不当な勧誘等の禁止
判断に影響する大事なことを、わざと言わなかったり、うそを言ったりしてはいけません。おどす、迷惑な時間に電話や訪問をする、深夜や長時間の勧誘で困らせる、断った人にしつこく勧誘する、も禁止です(施行規則第43条)。
第30条
契約前の書面の交付と説明
契約を結ぶまでに、決められた事項を書いた書面を渡して説明しなければなりません(いわゆる重要事項説明)。説明する事項は施行規則第45条に14項目あります。
第32条
書類の閲覧
業者は、自分の業務と財産の状況を書いた書類を営業所に置き、契約しようとする人が求めたら見せなければなりません。

国土交通省の「賃貸住宅管理業法ポータルサイト」は、次のような点も示しています。

違反した業者には、国の監督処分や罰則があります。

契約前に確認する10項目

重要事項説明の書面と契約書、広告やパンフレットを手元にそろえて、次の表を1行ずつ確かめましょう。わからない項目は、その場で質問し、答えを書面でもらうと安心です。

#確認する項目何が問題になりうるか根拠の法令・資料どの書類のどこを見るか
1家賃の額と、見直しの時期・方法「保証」でも、決まった時期ごとに見直され、下がることがあるサブリース新法第30条、施行規則第45条3号、借地借家法第32条重要事項説明書の「家賃」「賃貸の条件の変更」の欄
2「〇年保証」の中身保証の年数と、家賃が同じ額のままの期間は別のことがあるサブリース新法第28条、国交省ポータル(「家賃保証」の表示)広告・パンフレットと契約書を並べて比べる
3家賃が払われない期間(免責期間など)新築時や入居者の入れ替え時などに、家賃が入らない期間が決められていることがある施行規則第45条8号(責任及び免責)重要事項説明書の「責任及び免責」の欄、契約書の家賃の支払開始日
4契約期間、更新、解約の条件業者からは解約できても、オーナーからは簡単にやめられない場合がある施行規則第45条9号・12号・14号、借地借家法第28条契約書の「契約期間」「更新」「解除」の条項
5修繕費・原状回復費・設備交換の負担「全部業者持ち」と言われても、契約上はオーナー負担の部分があることがあるサブリース新法第29条、施行規則第45条5号重要事項説明書の「維持保全の費用の分担」の欄
6点検・清掃・修繕の内容と、その報告何を、どのくらいの頻度で行い、どう報告されるのかがあいまいになりやすい施行規則第45条4号・6号重要事項説明書の「維持保全の実施方法」「実施状況の報告」の欄
7違約金・損害賠償の決まり途中でやめるときに、思わぬお金がかかることがある施行規則第45条7号重要事項説明書・契約書の「違約金」「損害賠償額の予定」
8業者の経営の状態業者の経営が悪くなると、家賃の支払いに影響するおそれがあるサブリース新法第32条(書類の閲覧)業者の営業所で「業務及び財産の状況」の書類を見せてもらう
9契約が終わるとき・売るとき・相続のときの扱い契約が終わったときの権利や義務の引き継ぎがどうなるか、売却や相続で困らないか施行規則第45条13号重要事項説明書の「権利義務の承継」の欄、契約書
10説明から契約までの時間と、お金の計画その日のうちに決めると、比べたり相談したりする時間がない。家賃が下がったときにローンを返せるか国交省ポータル(1週間程度が望ましい)、国交省・金融庁・消費者庁の注意喚起(2018年10月26日)説明を受けた日と契約日のメモ、ローンの返済予定表、自分で作る収支の表

施行規則=賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則。号数は2026年9月29日時点でe-Govの条文を確認しました。

10番目の「お金の計画」では、家賃がいまより下がった場合、空室がある場合、ローンの金利が上がった場合など、いくつかの場面を自分で想定して、毎月の手出しがいくらになるかを試してみましょう。ローンの返済額はローン返済シミュレーターで計算できます。金利が上がったときの影響は変動金利の利上げ、返済額はいくら上がる?も参考にしてください。

よくある落とし穴

家賃の見直しで下がる

借地借家法第32条は、税金などの負担の増減、経済事情の変動、近くの似た建物の家賃と比べて不相当になったときなどに、契約の条件にかかわらず、当事者が将来の家賃の増額や減額を求められると定めています。サブリース業者は借主なので、この規定を使って減額を求めることができます。

最高裁判所は2003年(平成15年)10月21日の判決で、建物のサブリース契約にもこの規定が使われると判断しました。減額が認められるかどうかは、契約時に家賃を決めた事情などを含めて、総合的に判断されます。

保証が「一定期間だけ」のことがある

「30年保証」のような言葉があっても、家賃そのものは数年ごとに見直す、という契約がありえます。国交省は、「家賃保証」と広告するときは見直しがあることを近くに書くよう求めています。「何年間、いくらで固定なのか」を契約書で確かめましょう。

家賃が入らない期間がある

契約によっては、最初の数か月や入居者の入れ替えのときなどに、業者が家賃を払わない期間が決められていることがあります。重要事項説明書の「責任及び免責」の欄で確かめます。

オーナーからはやめにくい

借地借家法第28条は、建物の貸主が更新を断ったり解約を申し入れたりするには「正当の事由」が必要だと定めています。サブリース契約では、オーナーが貸主、業者が借主です。そのため、条件が合わなくなっても、オーナーの側からすぐにやめられるとは限りません。反対に、業者の側からの解約を認める条項が入っていることもあります。重要事項説明には、更新・解除に関する事項と、借地借家法などの概要が含まれるので、その部分をよく聞きましょう。

修繕費・原状回復費がかかる

建物の外壁や設備の交換、入居者が出た後の原状回復など、どこまでをオーナーが払うかは契約で決まります。区分マンションの場合は、これとは別に管理組合に払う管理費や修繕積立金もあり、修繕積立金は値上げされることがあります(修繕積立金の値上げを購入前に確認する方法)。

売りにくくなることがある

サブリース契約が付いたまま売る場合、買う人はその契約の条件も含めて判断することになります。家賃の条件や解約の条件によっては、買い手が限られることがあります。売るとき・相続のときに契約がどうなるかを、事前に確かめておきましょう。

勧誘で気をつけること

「必ずもうかる」「節税になる」と言われたら

宅地建物取引業法第47条の2は、不動産会社が勧誘のときに「利益が出ることは確実だ」と誤解させるような断定的な言い方をすることを禁じています。「節税になる」「年金代わりになる」と言われたときは、どんな前提で計算したのかを書面でもらいましょう。税金への効果は人によって違います。自分の場合を知りたいときは、税理士や税務署に相談してください。

表面利回りと実質利回り

広告の「利回り」は、年間の家賃収入を物件の価格で割っただけのもの(表面利回り)であることがあります。実際には、管理費・修繕積立金、固定資産税、管理の委託料、空室、購入時の諸費用などがかかります。これらを差し引いて考えるのが実質利回りです。広告の利回りに何が含まれているのかを確かめ、自分で費用を書き出してみましょう。

恋愛感情や長時間の勧誘

東京都消費生活総合センターは、職場にかかってきた電話をきっかけに、「家賃保証があるから空室でも収入がある」と説明され、深夜まで長い時間勧誘されて投資用マンションの申込書に署名してしまった例を紹介しています。国民生活センターも、マッチングアプリなどで知り合った相手が、恋愛のような会話から投資に誘うトラブルに注意をよびかけています。サブリース新法と宅地建物取引業法は、どちらも、おどす・迷惑な時間の勧誘・断った後のしつこい勧誘を禁じています。勧誘を受けたら、日時、会社名、免許番号、担当者名、やり取りの内容をメモしておくと、相談するときに役立ちます。

住宅ローンを投資用に使う誘い

住宅金融支援機構は、フラット35は自分が住む家のためのもので、人に貸す目的では使えないとしています。わかった場合は、残りのローンの一括返済を求められ、警察への通報などもあります。業者に任せていても、借りた本人が責任を問われます。「金融機関には自分が住むと説明すればいい」と言われたら、きっぱり断りましょう。

クーリング・オフと契約の取消し

宅地建物取引業法のクーリング・オフ(第37条の2)

投資用マンションを買う契約では、次の条件にあてはまれば、書面で申込みの撤回や契約の解除ができます(クーリング・オフ)。

書面を出した時点で効力が生じます。不動産会社は損害賠償や違約金を請求できず、受け取った手付金などはすぐに全額返さなければなりません。この仕組みは売買契約のためのものです。サブリース契約そのものを結んだ後に困ったときは、下の窓口に相談してください。

消費者契約法による取消し(第4条第3項)

消費者契約法第4条第3項は、困らせるような勧誘で結ばされた契約を取り消せる場合を定めています。たとえば、帰ってほしいと言ったのに帰らない、帰りたいと言ったのに帰してくれない(1号・2号)、社会経験が少ないことにつけこみ、恋愛感情などを利用して「契約しないと関係が終わる」と告げる(6号、いわゆるデート商法)などです。取り消せるのは、取り消せる状態になった時から1年以内、契約から5年以内です(第7条第1項)。

投資用の契約にこの法律が使えるかどうかは、事情によって判断が分かれることがあります。あてはまるか迷ったら、早めに消費生活センターや弁護士に相談しましょう。

相談窓口

困りごと窓口
勧誘・契約全般、クーリング・オフ、取消し消費者ホットライン「188」(近くの消費生活センターなどにつながります。相談は無料、通話料はかかります)
サブリース契約のトラブル国交省のポータルサイトが案内する窓口:日本賃貸住宅管理協会、全国賃貸住宅経営者協会連合会(0120-37-5584)、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)、消費者ホットライン188
不動産会社のしつこい勧誘その会社に免許を出した役所。国土交通大臣免許なら本店のある地域の地方整備局など、知事免許ならその都県の担当課。東京都知事免許の会社なら、東京都住宅政策本部 不動産業課(03-5320-5071)
フラット35を投資用に使うよう誘われた住宅金融支援機構 カスタマーセンター(0120-0860-35)

電話番号は2026年9月29日時点で各公式ページを確認しました。受付時間は各ページでご確認ください。

まとめ

「家賃保証」は、家賃がずっと同じという意味ではありません。サブリース業者は借主として家賃の減額を求めることができ、オーナーからの解約には条件があります。契約の前には、重要事項説明の書面で家賃の見直し、家賃が払われない期間、費用の分担、更新・解約の条件を確かめ、説明から契約まで時間をとって、専門家や相談窓口に相談しましょう。住まいの購入全体の手順は購入の流れで確認できます。

この記事は2026年9月29日時点の法令と国の資料にもとづく一般的な情報です。個別の契約の内容の判断、投資をするかどうかの判断はしていません。契約書の読み方や、契約をやめられるかどうかは、弁護士、税理士、宅地建物取引士などの専門家や、消費生活センターにご相談ください。

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出典(17件)

  • e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(第28条・第29条・第30条・第32条)https://laws.e-gov.go.jp/law/502AC0000000060
  • e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則」(第42条・第43条・第45条)https://laws.e-gov.go.jp/law/502M60000800083
  • e-Gov法令検索「借地借家法」(第28条・第32条)https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第37条の2・第47条の2)https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(第16条の5・第16条の6)https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50004000012
  • e-Gov法令検索「消費者契約法」(第4条第3項・第7条第1項)https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061
  • 裁判所「裁判例結果詳細」最高裁判所第三小法廷 平成15年10月21日判決(平成12(受)573、民集57巻9号1213頁)https://www.courts.go.jp/hanrei/52299/detail2/index.html
  • 国土交通省「賃貸住宅管理業法ポータルサイト:サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化のための措置等」https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/sublease.html
  • 国土交通省「賃貸住宅管理業法ポータルサイト:よくある質問」https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/faq.html
  • 国土交通省 報道発表「サブリース契約に関する注意喚起」(2018年10月26日)https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000180.html
  • 国土交通省「投資用マンションの悪質な勧誘電話にご注意ください」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000028.html
  • 消費者庁「サブリース契約に関するトラブルにご注意ください」https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_011
  • 消費者庁「消費者ホットライン」https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
  • 国民生活センター「儲け話に関するトラブル」https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/moukebanashi.html
  • 東京くらしWEB(東京都消費生活総合センター)「投資用マンション購入の判断は慎重に!」(2020年1月15日)https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/sodan/kinkyu/200115.html
  • 東京都住宅政策本部「投資用マンション等の悪質な勧誘電話にご注意ください」https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/fudosan/torihiki/chui
  • 住宅金融支援機構「【フラット35】の不適正利用について」https://www.flat35.com/hajimete/guide_caution.html

最終確認日:2026年9月29日 / 関連:ローン返済シミュレーター / 購入の流れ / 修繕積立金の値上げを購入前に確認する方法