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修繕積立金の値上げを購入前に確認する方法|国交省の目安とチェックリスト

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制度は変わることがあります。手続きの前に公式情報もご確認ください。

中古マンションを買う人に向けて、修繕積立金が将来どれくらい上がりそうかを、購入前に確かめる方法をまとめました。国土交通省のガイドラインの目安、積立方式の違い、管理組合の書類で見るべき点、最後にチェックリストがあります。

この記事のポイント
  • 国交省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(2024年6月改定)には、専有面積1㎡あたり月いくらという目安があります。
  • 今の月額が目安より大きく低い、または「段階増額積立方式」の場合は、将来の値上げを前提に考えます。
  • 長期修繕計画、総会議事録、重要事項調査報告書の3つで、値上げの予定・残高・滞納を確かめます。

修繕積立金とは

修繕積立金は、外壁の塗り直しや屋上の防水、給排水管の交換など、将来の大規模修繕に備えて、区分所有者が毎月積み立てるお金です。日々の清掃や管理会社への委託費にあてる管理費とは別に管理されます。

いくら積み立てるかは、管理組合が長期修繕計画をもとに総会で決めます。つまり、買った後に総会で値上げが決まれば、自分も払う額が増えます。住宅ローンの返済とあわせて毎月出ていくお金なので、購入前に見通しを立てておくことが大切です。

国交省ガイドラインの目安

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」は、2011年4月に作られ、最新の改定は2024年(令和6年)6月です(2026年9月29日時点で国交省のページを確認)。ここには、計画期間全体でならした修繕積立金の目安が、専有面積1㎡あたりの月額で示されています(機械式駐車場の分は含みません)。

地上階数/建築延床面積平均値事例の3分の2が入る幅
20階未満/5,000㎡未満335円/㎡・月235〜430円
20階未満/5,000〜10,000㎡252円/㎡・月170〜320円
20階未満/10,000〜20,000㎡271円/㎡・月200〜330円
20階未満/20,000㎡以上255円/㎡・月190〜325円
20階以上338円/㎡・月240〜410円

出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)。

国土交通省ガイドラインの修繕積立金の目安(専有面積1㎡あたり月額)。20階未満で5,000㎡未満は平均335円、幅235〜430円。20階未満で5,000〜10,000㎡は平均252円、幅170〜320円。20階未満で10,000〜20,000㎡は平均271円、幅200〜330円。20階未満で20,000㎡以上は平均255円、幅190〜325円。20階以上は平均338円、幅240〜410円。 専有面積1㎡あたりの月額(円) ◆ 20階未満/5,000㎡未満(本文の計算例) 平均335円(幅 235〜430円) 20階未満/5,000〜10,000㎡ 平均252円(幅 170〜320円) 20階未満/10,000〜20,000㎡ 平均271円(幅 200〜330円) 20階未満/20,000㎡以上 平均255円(幅 190〜325円) 20階以上 平均338円(幅 240〜410円) 0100200300400
国交省ガイドライン(令和6年6月改定)の目安を、0円からの長さに比例させて示しました。横のバーが「事例の3分の2が入る幅」、太い縦線が平均値です。色の付いた区分は、本文の計算例(延床面積5,000㎡未満・20階未満)に使った行です。機械式駐車場の分は含みません。出典:本文の表(国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」)

たとえば、延床面積5,000㎡未満・20階未満のマンションで専有面積70㎡の部屋なら、平均値は335円×70㎡=月23,450円、幅は月16,450〜30,100円になります。今の月額がこれより大きく低い場合は、将来の値上げや一時金の徴収が必要になる可能性を考えておきましょう。

機械式駐車場があるマンションは、その修繕費の分が上乗せされます。ガイドラインでは、機械式駐車場の機種ごとに1台あたり月額の修繕工事費(月4,645円〜7,210円)が示されていて、「1台あたりの額×台数÷マンション全体の専有面積の合計」で、1㎡あたりの加算額を計算します。なお、駐車場の修繕費を駐車場の使用料でまかなう場合は、加算しなくてよいとされています。

ただし、これはあくまで目安です。建物の形、設備、立地、築年数によって必要な額は変わります。目安から外れているだけで「悪いマンション」と決めつけず、理由を書類で確かめることが大切です。

段階増額積立方式と均等積立方式

修繕積立金の集め方には、大きく2つの方式があります。

均等積立方式段階増額積立方式
しくみ計画期間の修繕費の合計を、期間中ずっと同じ額で積み立てる最初は安くして、決まった時期ごとに段階的に上げていく
よい点将来の負担が読みやすい。値上げの合意が不要購入した直後の負担が軽い
注意点最初から月額が高めになる値上げには総会の決議が必要。合意できずに積立金が足りなくなるおそれがある

国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」では、今の積立方式は段階増額積立方式が47.1%、均等積立方式が40.5%で、完成した年が新しいマンションほど段階増額積立方式の割合が高くなっています。ガイドラインは、将来にわたって安定した積み立てができる均等積立方式が望ましいとしています。

2024年6月の改定では、段階増額積立方式の「適切な引き上げ方」が示されました。均等積立方式にした場合の月額を「基準額」として、計画の最初の額は基準額の0.6倍以上、最後の額は1.1倍以内にするという考え方です。たとえば基準額が月2万円なら、最初は1万2,000円以上、最後は2万2,000円以内が目安になります。購入を考えている物件の計画がこの範囲から大きく外れていないか、見てみましょう。

段階増額積立方式の概念図。均等積立方式の月額を基準額(1.0倍)として、計画の最初の額は基準額の0.6倍以上、最後の額は1.1倍以内にするのが目安。途中で段階的に上げるたびに、総会の決議が必要になる。 最初の額 値上げした分(総会の決議が必要) 基準額=均等積立の月額(1.0倍) 0.6倍以上1.1倍以内 最初最後時間がたつと、段階的に上げていく
段階増額積立方式の考え方を示した概念図です。点線は、同じ計画を均等積立方式にした場合の月額(基準額)です。0.6倍と1.1倍の高さは目安の比率に合わせていますが、途中の段階の数や額は説明のためのもので、実際の金額ではありません。色の付いた部分は値上げした分で、合意できないと積立金が足りなくなるおそれがあります。出典:本文「段階増額積立方式と均等積立方式」(国土交通省ガイドライン、2024年6月改定)

書類で見るべき点

修繕積立金の実態は、管理組合の書類でわかります。仲介の不動産会社を通して、できるだけ早い段階で取り寄せてもらいましょう。

  1. 長期修繕計画

    いつ、どんな工事に、いくらかかる予定かをまとめた計画です。計画期間が30年以上あるか、最後に見直したのはいつか(国交省のガイドラインは、どの積立方式でも5年程度ごとに見直すことが必要としています)、積立金の額がいつ、いくらに上がる予定か、将来の一時金や借入れを予定していないかを確認します。

  2. 総会議事録(直近2〜3年分)

    値上げの議案が出ていないか、反対が多くて否決されていないかを見ます。大規模修繕の工事費が見積もりより高くなった話、給排水管やエレベーターの不具合、管理会社の変更、滞納への対応なども、議事録に出てきます。

  3. 重要事項調査報告書

    管理会社が作る書類で、重要事項調査報告書と呼ばれます。その部屋の管理費・修繕積立金の月額、修繕積立金の残高、管理組合の借入金、管理組合全体とその部屋の滞納額、大規模修繕の実施時期や予定、値上げの決定・予定などが書かれています。

なお、公正取引委員会は2026年9月28日、関東7都県のマンション大規模修繕工事をめぐり、設計コンサルタントと施工会社が受注する会社を事前に決めていた談合に対して、排除措置命令と課徴金納付命令を出しました。総会議事録では、大規模修繕の業者の選び方(相見積もりをとったか、設計コンサルタントの選定理由)も確認しておくと安心です。

積立金の残高を見るコツ

残高は「多いか少ないか」だけでなく、次の大規模修繕にいくら必要かと比べて見ます。長期修繕計画の工事費と比べて残高が大きく足りないと、値上げや一時金、借入れで補うことになりやすくなります。築年数が進んだマンションでは、2回目・3回目の大規模修繕で工事の範囲が広がり、費用が増えることがあります。

滞納は2つに分けて見る

管理計画認定制度も手がかりになる

2022年4月に始まった「管理計画認定制度」では、マンションの管理計画が一定の基準を満たすと、地方公共団体(市区など)から認定を受けられます。修繕積立金に関係する基準には、次のようなものがあります。

認定を受けたマンションは、住宅金融支援機構の【フラット35】で金利の引き下げを受けられる場合があります。認定の有効期間は5年です。認定を受けたマンションのうち、公表に同意したものは、マンション管理センターの「管理計画認定マンション閲覧サイト」で公表されています。ただし、認定を受けていないから管理が悪い、というわけではありません。申請していないだけのマンションも多くあります。

購入前チェックリスト

修繕積立金のチェックリスト
  • 今の修繕積立金は月いくらか。専有面積1㎡あたりに直すといくらか(国交省の目安と比べる)
  • 積立方式は均等積立か、段階増額積立か。段階増額なら、いつ、いくらに上がる予定か
  • 長期修繕計画の計画期間は30年以上か。最後の見直しはいつか
  • 計画に一時金の徴収や借入れが入っていないか
  • 修繕積立金の残高は、次の大規模修繕の費用と比べて足りているか
  • 管理組合全体の滞納は多くないか。買う部屋に滞納はないか
  • 直近の総会で値上げの議案が出ていないか。否決されていないか
  • 前回の大規模修繕はいつで、次はいつの予定か
  • 機械式駐車場があるか。その修繕費や空き区画の状況はどうか
  • 管理計画認定を受けているか
  • 値上げ後の額でも、住宅ローンとあわせて無理なく払えるか

最後の項目は特に大切です。管理費・修繕積立金は、ローンを払い終えた後も住み続ける限り払い続けます。値上げ後の月額を入れて、ローン返済シミュレーターで毎月の支払いを確かめておきましょう。書類を受け取るタイミングは、購入の流れの「物件探し」から「重要事項説明」までの間が目安です。

まとめ

修繕積立金は、買った後に総会で上がることがあるお金です。国交省ガイドラインの目安と今の月額を比べ、段階増額積立方式なら今後の値上げ予定を確かめましょう。長期修繕計画・総会議事録・重要事項調査報告書で、残高、滞納、一時金や借入れの予定を見れば、値上げのリスクをある程度つかめます。価格の交渉を考えている人は中古マンションの値下げ交渉もあわせてご覧ください。

この記事は一般的な情報です。個別のマンションの管理状態の評価や、購入すべきかどうかの判断はしていません。書類の読み方がわからない場合は、仲介の不動産会社(宅地建物取引士)やマンション管理士などの専門家にご相談ください。ガイドラインや認定制度の内容は2026年9月29日時点のものです。

更新履歴(2件)

  • 図解を追加
  • 一次情報で内容を確認し、機械式駐車場の加算と積立方式の説明を修正。修繕工事の談合処分(2026年9月28日)を追記

出典(8件)

  • 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(平成23年4月作成、令和6年6月改定)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747009.pdf
  • 国土交通省 報道発表「『長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント』及び『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』の改定について」(2024年6月7日)https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000204.html
  • 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果〔概要編〕」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001750161.pdf
  • 国土交通省「マンション管理について」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html
  • さいたま市「マンション管理計画認定制度について」https://www.city.saitama.lg.jp/001/154/007/014/p088684.html
  • 公益財団法人マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」https://www.mankan.or.jp/11_managementplan/mpsupport.html
  • e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069
  • 公正取引委員会 報道発表資料(2026年9月28日、関東地区のマンション大規模修繕工事に関する排除措置命令等)https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2026/sep/260928_daiyon.manshon.html

最終確認日:2026年9月29日 / 関連:購入の流れ / 用語集:長期修繕計画 / 中古マンションの値下げ交渉