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ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できる?1年目の確定申告と、上限額が下がる仕組み

9万7,500円2026年に入居した人の、住民税から引ける住宅ローン控除の上限(課税総所得金額等の5%まで)

制度は変わることがあります。手続きの前に公式情報もご確認ください。

ふるさと納税と住宅ローン控除は、同じ年に両方使えます。住宅ローン控除は、ローンの残高に応じて税金が戻る制度です。ただし、家を買った最初の年には落とし穴が2つあります。1つは手続き、もう1つは住宅ローン控除が大きい人のお金です。

アオイさん(架空の人物です)は会社員です。今年の春、中古マンションに入居しました。ふるさと納税は今年で5年目になります。毎年12月に返礼品を見くらべ、ワンストップ特例の申請書を出して終わり。今年も同じつもりで、候補を「お気に入り」にためてあります。ためた返礼品は、すでに新居の冷凍室に入りきらない量です。本人はまだ、それに気づいていません。

ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できる?

併用できます。2つの制度は、税金を減らすしくみがちがうからです。ちがいの表は、最後の「くわしく」の箱にあります。

住宅ローン控除の条件は住宅ローン控除2026の記事にあります。年ごとの控除額の目安は住宅ローン控除シミュレーションで出せます。

ここまでは、アオイさんの予定どおりです。予定がずれ始めるのは、毎年出してきた申請書のところからでした。

落とし穴1:1年目にワンストップ特例が使えないのはなぜ?

会社員でも、住宅ローン控除の最初の年の分は確定申告が必要だからです。たとえば2026年10月に入居したら、2027年の2〜3月に確定申告をします。2年目からは、会社の年末調整で受けられます。

ワンストップ特例は、確定申告をしなくてよい会社員などが、寄附先が5団体以内のときだけ使えるしくみです。国税庁は、確定申告をする人は、ワンストップ特例の申請が無効になると説明しています。特例を申請した寄附もふくめて、確定申告で寄附金控除を計算します。

出典:国税庁 タックスアンサー No.1211-1・No.1155、総務省「ふるさと納税の流れ」(2026年10月7日確認)

アオイさんは、申請書を書くペンを止めました。5年かけて体で覚えた段取りが、今年だけは出番なしです。代わりに待っていたのは、確定申告書でした。

確定申告書では、第二表の「寄附金控除に関する事項」に書きます。さらに、「住民税に関する事項」の「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」の欄にも、ふるさと納税の金額を書きます。ここが空いていると、住民税で控除されないことがあると、国税庁は注意しています(No.1155)。

寄附金受領証明書(寄附先から届く、寄附の証明書)は、すべてそろえてから申告すると安心です。年ごとの手続きの表と、書き忘れたときの直し方は「くわしく」の箱にあります。

書く欄が増えるだけなら、まだ平和です。次の落とし穴では、住宅ローン控除が大きい人だと、戻るはずのお金の一部が戻りません。

落とし穴2:自己負担が2,000円を超えるのは、どんなとき?

引ききれない住宅ローン控除が、住民税の上限を超えているときです。

税金の控除は、その年に納める税金より多くは戻りません。ふるさと納税と住宅ローン控除が重なると、控除が余って切り捨てられることがあります。流れは次のとおりです。

  1. 確定申告でふるさと納税を書くと、所得が減り、所得税が少し減ります。
  2. 住宅ローン控除が所得税より大きい人は、所得税から引ききれずに余る控除が、そのぶん増えます。
  3. 引ききれない分は、翌年度の住民税から引かれます。ただし上限があり、それを超えた分は戻りません。

住民税から引ける上限は、前の年の所得税の「課税総所得金額等」(税率をかける元の所得)の5%です。ただし、9万7,500円が限度です(2026年に入居した人の場合)。

入居した年によっては、割合や金額がちがいます(例:2014〜2021年に消費税8%・10%で買った家は7%・13万6,500円まで)。出典:総務省「個人住民税の住宅ローン控除」/地方税法附則5条の4(2026年10月7日確認)

仮の数字で見ると(しくみの例)

会社員の仮の例で、ふるさと納税をしない場合とした場合をくらべます。前提と計算式は「くわしく」の箱にあります。

項目ふるさと納税なしふるさと納税あり(確定申告)
課税される所得200万円195万円
住宅ローン控除前の所得税10万2,500円9万7,500円
所得税から引ききれない住宅ローン控除10万7,500円11万2,500円
住民税から引ける上限9万7,500円9万7,500円
切り捨てられる住宅ローン控除1万円1万5,000円

この例では、ふるさと納税で所得税が5,000円減ります。でも、切り捨てられる住宅ローン控除も5,000円増えます。つまり、その5,000円は手元に戻りません。住民税の分がすべて控除されたとしても、自己負担は2,000円+5,000円=7,000円になる計算です。

実際の金額は、ほかの控除や住民税の額などで変わります。ここではしくみだけを示しています。

アオイさんは、表のいちばん下の行を指でなぞりました。返礼品は、ちゃんと届きます。届かないのは、切り捨てられた控除のほうです。冷凍室の心配は、少し後回しになりました。

自分の上限額は、住んでいる市区町村の住民税の担当に聞いてください。迷うなら、入居した年の寄附を少なめにすると、戻らない分も小さくなります。収入が下がった年に起きやすい切り捨ては「くわしく」の箱にあります。

出典:総務省 ふるさと納税ポータルサイト「よくある質問」Q5/地方税法37条の2(2026年10月7日確認)

お金の落とし穴は、ここまでです。最後に、引越しと申請書の組み合わせにも、日付の決まりが1つあります。

ワンストップ特例の後に引越したら?変更届は翌年1月10日まで

申請した自治体に、変更の届出をします。

総務省によると、申請したあとに住所などが変わったら、寄附した年の翌年1月10日までに、申請先の自治体へ届け出れば特例が使えます。翌年1月1日の住所が申請書とちがうのに届出がないと、特例は使えません。

出典:総務省「ワンストップ特例を申請する皆様へ」(2026年10月7日確認)

ただし、その年に入居して住宅ローン控除を受ける人は、確定申告をします。そのため、ワンストップ特例はもともと使えません。変更届が問題になるのは、おもに「家は買ったが入居は翌年」「住宅ローン控除の2年目以後に住み替えた」といった場合です。引越しの手続き全体は、引っ越しの切り替え手続き一覧と住所変更登記の記事にまとめています。

家を買った年の手続き全体は、購入の流れにあります。寄附の名義など、家を買った年の確認リストは「くわしく」の箱にまとめました。

その夜、アオイさんは市役所の住民税の窓口の電話番号を、手帳に書き写しました。冷凍室の大きさは、まだ測っていません。

くわしく知りたい人へ:確認リスト・控除のしくみの表・年ごとの手続き・計算の前提・控除の3つの内訳

家を買った年のふるさと納税、何に気をつける?

  • 入居の年は、確定申告が前提。その年の寄附は、寄附先の数にかかわらず確定申告に書きます。寄附金受領証明書は取っておきます。
  • 住宅ローン控除が大きい人は、自己負担が2,000円を超えることがある。寄附の額は、住宅ローン控除の額と住民税の上限も合わせて考えます。
  • 2年目以後は、年末調整とワンストップ特例を組み合わせられる。ただし、医療費控除などで確定申告をする年は、ワンストップ特例は無効になります。
  • 寄附は本人の名義で。控除を受けるのは、寄附をした本人です。夫婦でローンを組んだときも、それぞれの税金で考えます。

2つの控除は、どう税金を減らす?

ここで出てくる「控除」は、税金を減らすしくみのことです。減らし方には2種類あります。

制度減らし方どの税金から減るか
ふるさと納税(寄附金控除)寄附額から2,000円を引いた額を、所得から差し引く(所得税)。住民税は税額から差し引く所得税と、翌年度の住民税
住宅ローン控除年末のローン残高などに控除率を掛けた額を、所得税の額から直接差し引くまず所得税。引ききれない分は翌年度の住民税(上限あり)

所得とは、収入から必要な経費などを引いた額です。ふるさと納税は、所得税では、税金をかける元の所得を小さくします。住宅ローン控除は、計算した税金の額そのものを小さくします。その額は、ふつう年末のローン残高の0.7%です(上限あり)。

出典:国税庁 タックスアンサー No.1155・No.1211-1(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月7日確認)

年ごとの手続き

年住宅ローン控除の手続きふるさと納税の手続き
入居した年の分(1年目)翌年に確定申告確定申告の寄附金控除に、すべての寄附を書く(ワンストップ特例は使えない)
2年目以後(会社員)年末調整ほかに確定申告の理由がなく、寄附先が5団体以内ならワンストップ特例を使える
2年目以後でも、医療費控除などで確定申告をする年確定申告確定申告の寄附金控除に、すべての寄附を書く

出典:国税庁 タックスアンサー No.1211-1・No.1155、総務省「ふるさと納税の流れ」(2026年10月7日確認)

ワンストップ特例の分を、確定申告に書き忘れたら

入れ忘れたときは、税務署に「更正の請求」を出して直せます。出した申告を正しく直す手続きです。

ただし、寄附金控除を入れても、最後の所得税の額が変わらないときは、更正の請求はできません。このときは、住んでいる市区町村に相談します(No.1155)。

住宅ローン控除の1年目は、これに当たりやすい年です。住宅ローン控除で所得税がすでに0円の人は、寄附金控除を足しても0円のままだからです。

仮の数字の前提と計算式

計算の前提(当サイトの単純化した例)
  • 会社員で、課税される所得が200万円。
  • 住宅ローン控除の額は21万円(年末の残高3,000万円×0.7%。借りられる上限の範囲内とする)。
  • ふるさと納税は5万2,000円(寄附金控除は5万円)。
  • 所得税は、国税庁の速算表で計算(課税される所得が195万円から329万9,000円までは「×10%−9万7,500円」)。復興特別所得税は省く。

計算式:所得税=課税される所得×10%−9万7,500円。引ききれない額=21万円−所得税。住民税の上限=課税総所得金額等×5%(9万7,500円まで)。200万円×5%=10万円と、195万円×5%=9万7,500円は、どちらも9万7,500円になります。

収入が下がった年の切り捨て

住民税の所得割(所得に応じてかかる住民税)が少ない年も、気をつけます。住宅ローン控除の残りとふるさと納税の控除の合計が、所得割より大きいと、引ききれない分は戻りません。最初の数年や、育児休業などで収入が下がった年は、切り捨てが起きやすくなります。

出典:総務省 ふるさと納税ポータルサイト「よくある質問」Q5/地方税法37条の2(2026年10月7日確認)

ふるさと納税の控除の3つの内訳と「2割」の上限

控除は、次の3つに分かれています。

  • ①所得税:(寄附額−2,000円)×所得税の税率。対象の寄附額は総所得金額等の40%まで。
  • ②住民税の基本分:(寄附額−2,000円)×10%。対象の寄附額は総所得金額等の30%まで。
  • ③住民税の特例分:(寄附額−2,000円)×(100%−10%−所得税の税率)。住民税所得割額の2割まで。

①と③の「所得税の税率」は、復興特別所得税を加えた率です(例:2026年中の寄附で税率10%の人は10.21%)。③が所得割額の2割を超えると、全額は控除されず、自己負担が2,000円を超えます。これが、よく「控除上限額」と呼ばれるものです。2,000円の自己負担は、1回ごとではなく、1月〜12月の寄附の合計にかかります。

2027年中の寄附(2028年度分の住民税)からは、③の上限が変わります。「所得割額の2割」と「定額(都道府県民税と市町村民税で合わせて193万円)」の低いほうです。定額に届くのは、所得がごく高い人だけです。

なお、住民税で住宅ローン控除を受けても、③の「2割」を計算する元の所得割は小さくなりません。「住宅ローン控除があると上限が下がる」と言われるのは、上で説明した切り捨てが起きるためです。

出典:総務省「税金の控除について」「よくある質問」Q3/国税庁 No.1155/地方税法37条の2・314条の7、令和8年法律第2号(e-Gov法令検索で改正後の条文を確認)(いずれも2026年10月7日確認)

この記事は、ふるさと納税と住宅ローン控除の一般的なしくみの説明です。2026年10月7日時点の総務省・国税庁の情報と法令によります。表の数字はしくみを示すための例で、あなたの控除額や上限額を示すものではありません。自分の税額や上限額は、住んでいる市区町村の住民税の担当、税務署、税理士にご相談ください。

出典(10件)

最終確認日:2026年10月7日 / 関連:住宅ローン控除2026 / 住宅ローン控除シミュレーション / 引っ越しの切り替え手続き / 購入の流れ