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債務整理で家はどうなる?任意売却と競売の違い、個人再生で家を残せる条件
情報の確認日 約15分で読めます公開日 2026年10月1日
制度は変わることがあります。手続きの前に公式情報もご確認ください。
債務整理で家がどうなるかは方法によって違い、自己破産では原則として家を手放し、個人再生では住宅ローン特則を使えば家を残せる場合があります。住宅ローンやほかの借金の返済が苦しくなったとき、「家はどうなるのか」は一番気になる点だと思います。この記事では、債務整理の4つの方法で自宅の扱いがどう違うか、家を残せる個人再生の条件、任意売却と競売の違いを、法律の条文と裁判所・住宅金融支援機構の資料をもとに整理しました。最後に、無料や低額で相談できる窓口をまとめています。
- 債務整理には、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4つがあります。家の扱いは方法によって大きく違います。
- 個人再生の「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を使うと、家を残して他の借金を整理できる場合があります。ただし住宅ローン自体は減らず、使える条件も法律で決まっています。
- 家を手放す場合、裁判所が売る「競売」と、自分で買主を探す「任意売却」があります。任意売却には、住宅ローンを貸した側の同意が必要です。
- どの方法が合うかは、借金の額・収入・家の価値などで変わります。早めに法テラスや弁護士会・司法書士会の窓口に相談しましょう。
まず知っておきたいこと:返済が苦しくなったら早めに相談
住宅ローンの返済が苦しくなりそうなときは、滞納する前に、返済している金融機関に相談できます。たとえば住宅金融支援機構は、収入が減った人などに向けて、返済期間の延長や、一定期間の返済額の軽減などの「返済方法の変更」のメニューを用意しています。申請先は、返済中の金融機関です。審査があり、希望どおりにならない場合もあります。また、変更の内容によっては総返済額が増えることがあります(住宅金融支援機構「月々の返済でお困りになったとき」、2026年10月1日確認)。
同じページでは、住宅ローンのほかにも返済を抱えて続けるのが難しい人には、個人再生について弁護士など法律の専門家に相談する方法も案内されています。返済方法の変更で足りるのか、債務整理が必要なのかは、一人で決めず相談するのが安心です。
注意したいのは、相談先の選び方です。裁判所は、弁護士でない者が依頼を受けて債務整理などの法律業務を行うことは法律で禁止されていると注意を呼びかけています(司法書士は一定の範囲で行えます)。「家を残せます」「借金が減ります」と勧誘してくる資格のない業者には依頼しないようにしましょう(裁判所「破産・再生」、2026年10月1日確認)。
債務整理の4つの方法と、家の扱いの違い
債務整理の方法ごとに、手続きの特徴と家の扱いを比べます。どれも一般的な説明で、実際の結果は個別の事情で変わります。
| 方法 | どんな手続きか | 家(住宅ローン)の扱い |
|---|---|---|
| 任意整理 | 裁判所を使わず、債権者と話し合って返し方を決める。返済は続ける | 住宅ローンも対象にできるが、相手との合意が必要。延滞が長いと難しい場合がある |
| 特定調停 | 簡易裁判所の調停委員のもとで、債権者と返し方を話し合う | 話し合いで合意した内容しだい |
| 個人再生 | 借金を減らした返済計画を作り、裁判所の認可を受けて原則3年で返す | 住宅ローン特則を使えば、家を残せる場合がある(住宅ローン自体は減らない) |
| 自己破産 | 財産をお金に換えて債権者に分け、残りの借金の支払い責任を免除してもらう | 原則として家は手放す(破産管財人による売却、または抵当権者による競売) |
任意整理:話し合いで返し方を決める
任意整理は、裁判所などの公的機関を使わず、債権者と話し合って支払額や支払方法を決める方法です。返済を続ける手続きなので、そのためのお金の確保が必要です。自己破産と違って財産を失うことはなく、官報(国の機関紙)にも載りません。一方で、信用情報機関に登録され、数年間は借入れやクレジットカードの作成が難しくなります。住宅ローンを任意整理の対象にすることもできますが、相手との合意が必要で、延滞が長いと難しくなる場合があります(法テラス「よくある相談」、2026年10月1日確認)。
特定調停:簡易裁判所で話し合う
特定調停は、返済できなくなるおそれのある人の経済的な立て直しのために、簡易裁判所で債権者と話し合う手続きです。合意して調書に書かれると、確定判決と同じ効力があり、その内容どおりに返していきます。東京簡易裁判所の案内では、個人の申立て費用は債権者1社につき500円程度、申立てから終わるまで通常2か月程度で、裁判所に行くのは2回程度とされています。調停は非公開で行われます(東京簡易裁判所「特定調停」、2026年10月1日確認)。
個人再生:家を残しながら借金を整理できる場合がある
個人再生は、借金の返済総額を少なくし、その金額を原則3年で分けて返す計画を立て、裁判所の認可を受ける手続きです。計画どおりに返すと、残りの借金は免除されます。ただし、養育費や税金など一部は免除されません(法テラス「個人再生とは何ですか」、2026年10月1日確認)。東京地方裁判所の案内では、住宅ローンを除く借金などの総額が5,000万円以下で、将来も継続的な収入がある個人が対象で、返済計画は原則3年以上5年以内です。手続きの開始や認可は官報に載ります(東京地方裁判所民事第20部「よくある質問」、2026年10月1日確認)。
自己破産:原則として家は手放す
自己破産では、破産手続が始まった時点で持っている財産は「破産財団」になり、その管理や処分の権限は裁判所が選んだ破産管財人に移ります(破産法第34条第1項・第78条第1項)。家などの不動産を任意売却するには、管財人が裁判所の許可を得ます(同法第78条第2項第1号)。また、住宅ローンの抵当権を持つ金融機関などは、破産手続とは別に抵当権を実行できます(同法第65条第1項)。つまり、自己破産では原則として家を手放すことになります。破産後の生活への影響は、自己破産したら何ができなくなる?その後の制限と信用情報で説明しています。
個人再生の住宅ローン特則(住宅資金特別条項)で家を残せる条件
個人再生では、再生計画に「住宅資金特別条項」を入れることで、住宅ローンは払い続けながら、ほかの借金を減らせる場合があります。条件は民事再生法で決まっています。主なものは次のとおりです。
- 対象の家:住宅ローンで建てたり買ったりした自宅で、実際に住んでいること(民事再生法第196条)。
- ほかの担保がないこと:住宅ローンの債権者以外の債権者のための抵当権が設定されていないこと(同法第198条第1項)。
- 住宅ローンは減らない:住宅ローンの返済総額は、ほかの借金のように少なくすることはできません(同法第199条)。
このほかにも細かな条件や手続きの決まりがあります。条件を満たすかどうかの判断は専門的なので、弁護士などに相談してください。
任意売却と競売の違い
家を手放すことになった場合、売り方には「競売」と「任意売却」があります。
| 比べる点 | 競売 | 任意売却 |
|---|---|---|
| 誰が進めるか | 債権者の申立てで、地方裁判所が差し押さえて売る | 本人が不動産会社に仲介を頼み、普通の取引として売る |
| 債権者の同意 | 不要(法律の手続で強制的に売る) | 必要(抵当権を消すことに同意してもらう) |
| 売れる価格 | — | 住宅金融支援機構は、通常の取引として売るため、一般に競売より高く売れることが期待できるとしている |
| 引越しの時期 | 代金を納めた買受人が所有者になる。明け渡さないと引渡命令の対象になる | 引渡しの時期を調整しやすい(住宅金融支援機構) |
競売の流れ
住宅ローンの抵当権を持つ債権者は、地方裁判所に「担保不動産競売」を申し立てて、家を売ったお金から回収できます(裁判所「担保不動産競売」)。手続きは民事執行法で決まっていて、おおまかには次のように進みます。
競売の開始決定・差押え
裁判所が競売の開始を決め、不動産を差し押さえます(民事執行法第45条、担保不動産競売は第188条で準用)。
現況調査と評価
執行官が家の状態や住んでいる人を調べ、評価人が価格を評価します(第57条・第58条)。物件明細書などの資料が作られます(第62条)。
入札・売却
買いたい人が入札し、売却が決まります。
代金の納付と引渡し
買受人は代金を納めた時に所有者になります(第79条)。住み続けていると、買受人の申立てで裁判所が引き渡しを命じることがあります(第83条)。
任意売却の流れ(住宅金融支援機構の場合)
任意売却では、売却代金でローンを完済できないこともあり、抵当権を消してもらうには債権者の同意が必要です。住宅金融支援機構(フラット35など)の場合の流れは次のとおりです(住宅金融支援機構「融資住宅等の任意売却」「任意売却パンフレット(令和8年4月)」、2026年10月1日確認)。ほかの金融機関や保証会社では、手続きや条件が違います。
申出書の提出
本人が仲介する不動産会社を選び、「任意売却に関する申出書」を出します。
価格の査定と売出価格の通知
不動産会社が物件を調べて査定し、機構側が確認して売出価格を通知します。確認していない価格で買主を見つけても、抵当権の抹消に応じられない場合があります。
媒介契約と販売
本人と不動産会社が専任媒介契約(または専属専任媒介契約)を結び、販売します。
抵当権抹消の審査・売買契約・決済
買主が見つかったら、機構側が抵当権の抹消に応じられるかを審査し(通知まで2週間程度)、承諾後に売買契約、代金の決済と抵当権の抹消へ進みます。
パンフレットには、注意点もいくつか書かれています。
- 手続きに協力すると、売却代金から仲介手数料や抵当権抹消登記の費用などを差し引ける場合があります。
- 機構が債権回収会社に業務を任せる場合、申出書を出してから委託まで通常3か月程度かかります。
- 最初の媒介契約から6か月たっても買いたい人が現れない場合などは、任意売却をやめて競売の手続に入ることがあります。
- 借入申込日が2017年(平成29年)10月1日以後のフラット35(買取型)を利用して新機構団信(新3大疾病付機構団信を含む)に入っている場合と、借入申込受理日が2020年(令和2年)10月1日以後で新機構団信(金利組込方式)に入っている場合は、期限の利益(分割で返す権利)を失うと、全額繰上償還請求の期限日に団体信用生命保険の保障が終わります。
売った後に残った借金はどうなる?
任意売却で返したお金が借金の額に足りないとき、残りの返済義務は残ります(自己破産で免責を受けた人を除く)。住宅金融支援機構は、売却後の返済計画は生活の状況などを踏まえて本人と決めていくとしています(任意売却パンフレット、2026年10月1日確認)。残った借金を返すのが難しい場合は、債務整理を含めて専門家に相談しましょう。
売却を考える時期と、滞納からの一般的な流れ
返済が止まると、一般には次のように進みます。ただし、何か月の滞納でどの段階になるかは、ローンの契約や金融機関によって違います。この記事では公的な根拠で確かめられた期間だけを書いています。
- 滞納・督促:まず金融機関から連絡や督促が来ます。この段階なら、返済方法の変更を相談できる可能性があります。
- 期限の利益の喪失:分割で返す権利を失い、残りを一括で返すよう求められます。
- 代位弁済:住宅ローンに保証会社が付いている場合、保証会社が本人の代わりに金融機関へ返し、その後は保証会社から請求されます。個人再生で住宅ローン特則を使う場合は、代位弁済の後の申立てについても決まりがあるので、早めに弁護士などに相談してください。
- 競売の申立て・開始決定:債権者が裁判所に競売を申し立てます。
任意売却は買主を探す時間が必要で、債権者の同意も必要です。家を残したいのか、売って借金を減らしたいのかを含めて、滞納が長くなる前に相談するほど選べる方法は多くなります。自宅を売るときの一般的な流れ(査定、媒介契約、売買契約、引渡し)は、家を売るには?自宅売却の流れ7ステップで説明しています。
相談できる窓口
- 法テラス(日本司法支援センター):法テラス・サポートダイヤル 0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)。国が設立した、法的トラブルの「総合案内所」です。経済的に余裕がない人は、条件を満たすと、弁護士・司法書士による無料の法律相談や、費用の立替えの制度(民事法律扶助)を利用できます。
- 弁護士会の法律相談センター:日本弁護士連合会のページで、全国の法律相談センターを探せます。関東の弁護士会は、東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会・神奈川県弁護士会・埼玉弁護士会・千葉県弁護士会・茨城県弁護士会・栃木県弁護士会・群馬弁護士会です(下の出典にURL)。
- 司法書士会の相談センター:日本司法書士会連合会のページに、都道府県ごとの相談センターの一覧があります。
- 住宅ローンを返している金融機関:返済方法の変更の相談先です。
まとめ
債務整理で家がどうなるかは、方法によって違います。任意整理と特定調停は話し合いで返し方を決める方法で、住宅ローンをどう扱うかは合意しだいです。個人再生は、住宅ローン特則の条件を満たせば、住宅ローンを払い続けながら家を残せる場合があります。自己破産では、原則として家を手放します。家を手放す場合は、裁判所が売る競売と、債権者の同意を得て自分で売る任意売却があり、売った後に借金が残れば返済義務は残ります。どの方法が合うかは一人ひとり違うので、早めに公的な窓口や専門家に相談してください。
出典(22件)
- 法務省「日本法令外国語訳データベース」民事再生法(第196条・第198条・第199条・第221条・第229条。同データベースの版:平成26年法律第91号までの改正)https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/4425
- 法務省「日本法令外国語訳データベース」破産法(第34条・第65条・第78条・第184条。同データベースの版:令和5年法律第53号までの改正)https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/4895
- 法務省「日本法令外国語訳データベース」民事執行法(第45条・第57条・第58条・第62条・第79条・第83条・第188条。同データベースの版:令和元年法律第2号までの改正)https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/4900
- 裁判所「破産・再生」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/hasan/index.html
- 裁判所「担保不動産競売」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_03/index.html
- 東京地方裁判所民事第20部「よくある質問」(破産・個人再生)https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section20/situmonn_tousannbu/index.html
- 東京簡易裁判所「特定調停」https://www.courts.go.jp/tokyo-s/saiban/tokubetutyoutei/index.html
- 住宅金融支援機構「融資住宅等の任意売却」(更新日2026年4月1日)https://www.jhf.go.jp/hensai/baikyaku.html
- 住宅金融支援機構「任意売却パンフレット」(令和8年4月)https://www.jhf.go.jp/files/topics/5253_ext_99_0.pdf
- 住宅金融支援機構「月々の返済でお困りになったとき」(更新日2026年4月1日)https://www.jhf.go.jp/hensai/hensai/komatta.html
- 法テラス「任意整理とは何ですか。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-001.html
- 法テラス「任意整理のメリット・デメリットは何ですか。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-002.html
- 法テラス「住宅ローンについても、任意整理することができますか。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-007.html
- 法テラス「個人再生とは何ですか。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-001.html
- 法テラス「個人再生のメリット・デメリットは何ですか。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-003.html
- 法テラス「住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特則)の利用条件は何ですか。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-004.html
- 法テラス「特定調停と任意整理には、どのような違いがありますか。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-007.html
- 法テラス「住宅ローンの支払が困難です。自宅の任意売却という方法はどのようなものですか。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-011.html
- 法テラス「民事法律扶助業務」https://www.houterasu.or.jp/site/about-houterasu/minjihouritsufujo.html
- 日本弁護士連合会「全国の弁護士会の法律相談センター」https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/search/center.html
- 日本司法書士会連合会「司法書士総合相談センター 一覧」https://www.shiho-shoshi.or.jp/activity/consultation/center_list/
- 関東の弁護士会:東京弁護士会 https://www.toben.or.jp/ /第一東京弁護士会 https://www.ichiben.or.jp/ /第二東京弁護士会 https://niben.jp/ /神奈川県弁護士会 https://www.kanaben.or.jp/ /埼玉弁護士会 https://www.saiben.or.jp/ /千葉県弁護士会 https://www.chiba-ben.or.jp/ /茨城県弁護士会 https://www.ibaben.or.jp/ /栃木県弁護士会 https://www.tochiben.com/ /群馬弁護士会 https://www.gunben.or.jp/