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自己破産したら何ができなくなる?その後の制限と信用情報に残る期間
情報の確認日 約14分で読めます公開日 2026年10月1日
制度は変わることがあります。手続きの前に公式情報もご確認ください。
自己破産をすると、手続きの間は一部の資格や仕事に制限がかかりますが、免責許可の決定が確定して復権すれば、その制限はなくなります。信用情報には、機関ごとに決まった期間、記録が残ります。自己破産を考えている人や、家族が自己破産をした人に向けた記事です。「仕事を続けられるのか」「家族に影響はあるのか」「いつまで記録が残るのか」など、自己破産の後に何が制限され、何は制限されないのかを、破産法の条文と、裁判所・法テラス・信用情報機関の公式ページで確認して整理しました。
- 資格や仕事の制限は、主に破産手続が始まってから「復権」するまでの間です。免責許可の決定が確定すると、復権します。
- 破産しても、99万円までの現金など一定の財産は手元に残せます。一方で、税金や養育費など、免責されない支払いもあります。
- 信用情報に記録が残る期間は、機関によって違います(CIC・JICCは契約終了後などから5年以内が基本、全国銀行個人信用情報センターの官報情報は開始決定から7年を超えない期間)。
- 戸籍や住民票に載ることはなく、選挙権もなくなりません。家族の財産が処分されることもありません。
自己破産の手続きの流れ
自己破産は、裁判所の手続です。破産手続では、裁判所が選んだ破産管財人が財産をお金に換えて、債権者に分けます。ただし、破産手続をしただけでは借金はなくなりません。支払いの責任を免れるには、別に「免責許可」の決定を受ける必要があります。個人の自己破産では、通常、破産手続の開始と免責許可の申立てを一緒に行います(東京地方裁判所民事第20部「よくある質問」、2026年10月1日確認)。破産法でも、本人が破産を申し立てると、反対の意思を示さない限り、免責許可の申立ても同時にしたものとみなされます(破産法第248条第4項)。
財産がとても少なく、手続の費用も出せないと認められるときは、破産管財人を選ばず、開始と同時に破産手続を終えます(同時廃止。破産法第216条第1項)。その後、免責許可の決定が出て、官報に掲載されてから2週間たつと確定します(法テラス「自己破産の手続について教えてください」、2026年10月1日確認)。
手元に残せる財産(自由財産)
破産手続が始まった時点の財産は、原則として「破産財団」になり、債権者への配当に使われます(破産法第34条第1項)。ただし、次の財産は破産財団に入らず、手元に残せます(同条第3項)。
- 99万円までの現金:法律の書き方は「民事執行法第131条第3号に定める額の2分の3倍の金銭」です。その額は民事執行法施行令第1条で66万円とされているので、66万円×1.5=99万円になります。
- 差し押さえが禁止されている財産:生活に欠かせない衣服・寝具・家具・台所用具などです(民事執行法第131条)。
また、裁判所は、本人の生活の状況などを考えて、手元に残せる財産の範囲を広げることができます(破産法第34条第4項)。自宅については、原則として手放すことになります。詳しくは債務整理で家はどうなる?任意売却と競売の違いで説明しています。
免責されない場合と、免責されない借金
免責が許可されないことがある理由(免責不許可事由)
破産法第252条第1項には、免責が許可されない理由が11項目あります。主なものは次のとおりです。
- 債権者を害する目的で、財産を隠したり、壊したり、不当に安く手放したりした
- 浪費やギャンブルなどで、大きく財産を減らしたり、過大な借金をしたりした
- 一部の債権者だけに、特別に返済したり担保を付けたりした
- うそを言って信用取引で財産を手に入れた(申立ての1年前から開始決定までの間)
- うその債権者名簿を出した、裁判所の調査で説明を拒んだりうそを言ったりした
- 前に免責許可の決定が確定した日などから7年以内に、再び免責を申し立てた
ただし、これらに当たる場合でも、裁判所は破産に至った経緯などすべての事情を考えて、免責を許可することができます(同条第2項。「裁量免責」と呼ばれます)。
免責されても支払いが残るもの(非免責債権)
免責許可の決定が確定すると、破産した人は借金の支払い責任を免れます。ただし、次のものは免責されません(破産法第253条第1項)。
- 税金などの請求
- 悪意で加えた不法行為による損害賠償
- わざと、または重大な不注意で人の命や体を傷つけたことによる損害賠償
- 養育費や婚姻費用、扶養の義務などにもとづく請求
- 雇っていた人の給料などの請求
- 知っていながら債権者名簿に書かなかった請求(その債権者が破産を知っていた場合を除く)
- 罰金など
また、免責は連帯保証人などには効力が及びません(同条第2項)。本人が免責されても、保証人は支払いを求められることがあるので、保証人がいる場合は早めに相談しましょう。
破産手続の間の制限
破産手続の間は、次のような決まりがあります。
- 住んでいる場所を離れるとき:裁判所の許可が必要です(破産法第37条第1項)。
- 説明する義務:破産管財人などから求められたら、破産について必要な説明をしなければなりません(同法第40条第1項)。
- 郵便物:裁判所が必要と認めるときは、本人あての郵便物が破産管財人に配達されることがあります(同法第81条第1項)。
法テラスも、破産手続が終わるまでの間、職業・転居・長期の旅行などに一定の制限を受ける場合があると説明しています(法テラス「自己破産のメリット・デメリットは何ですか」、2026年10月1日確認)。
資格の制限(主な例)
いくつかの法律は、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を、その資格や登録を受けられない人としています。この記事では、公式のページで現在の内容を確認できたものだけを挙げます(ほかにも制限のある資格があります)。
| 資格・登録 | 根拠 | 確認したページ |
|---|---|---|
| 宅地建物取引業の免許(不動産会社を営む) | 宅地建物取引業法 第5条第1項第1号 | 東京都住宅政策本部 |
| 宅地建物取引士の登録 | 宅地建物取引業法 第18条第1項第2号 | 埼玉県 |
| 警備業の認定(警備会社を営む) | 警備業法 第3条 | 神奈川県警察 |
どれも条件は「復権を得ない者」なので、復権すれば、この理由での制限はなくなります。破産法も、復権の効果は資格に関する各法令の定めによるとしています(破産法第255条第2項)。今の仕事に関係するかどうかは、勤め先の規則や、資格を所管する役所にも確認してください。
復権:制限がなくなるとき
破産した人は、次のどれかに当たると、手続をしなくても復権します(破産法第255条第1項)。
- 免責許可の決定が確定したとき
- 届出をした債権者全員の同意などによる破産手続廃止の決定(第218条)が確定したとき
- 再生計画認可の決定が確定したとき
- 破産手続開始の決定から、詐欺破産罪で有罪が確定することなく10年たったとき
このほか、借金を全部返すなどして支払い責任を免れたときは、本人の申立てで裁判所が復権の決定をします(同法第256条第1項)。多くの人は、免責許可の決定が確定した時点で復権します。
信用情報に記録が残る期間
ローンやクレジットカードの審査では、金融機関などが信用情報機関の情報を参考にします。破産や債務整理の情報が残る期間は、機関ごとに違います。
| 信用情報機関 | 破産・債務整理に関係する情報 | 登録期間 |
|---|---|---|
| CIC | 官報情報は2009年4月1日から集めていない。クレジットの契約の情報に「異動(破産など)」が記録される | 契約期間中および契約終了後5年以内。破産の場合は、免責許可決定を確認した会員会社がコメントを登録した報告日が起算点 |
| JICC(日本信用情報機構) | 取引事実に関する情報(債務整理、破産申立など) | 契約日が2019年9月30日以前:その事実の発生日から5年を超えない期間。2019年10月1日以降:契約継続中および契約終了後5年以内 |
| 全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 取引情報(ローン・クレジットカードなどの取引)と、官報情報(破産・民事再生手続開始決定)。免責の情報は登録していない | 取引情報:契約期間中および契約終了日から5年を超えない期間。官報情報:開始決定の日から7年を超えない期間(2022年11月に10年から短縮) |
自分の情報は、各機関に開示を申し込んで確認できます。
住宅ローンをまた組めるか
登録期間が過ぎれば記録は消えますが、住宅ローンを貸すかどうかは、各金融機関が自分の基準で審査して決めます。「何年たてば必ず借りられる」という決まりはありません。将来、家を買いたいときは、まず収入と手元資金から無理のない予算を考えることが大切です。返済額の目安はローン返済シミュレーターで試せます。
誤解されやすい点
- 戸籍や住民票に載る? 載りません。選挙権がなくなることもなく、銀行の普通預金口座も使えます(法テラス「自己破産のメリット・デメリットは何ですか」)。
- 家族に影響する? 自己破産は本人の手続です。家族の財産が処分されたり、家族の仕事が制限されたりすることはありません(法テラス「自己破産をすると家族の財産や仕事に影響がありますか」)。ただし、家族が保証人になっている借金は別です(上の非免責債権の節を参照)。
- 官報に載る? 載ります。破産法の公告は官報に掲載して行います(破産法第10条第1項)。破産手続の開始などが公告され、住所や氏名が載ります。官報に載るため、ほかの人に知られる可能性は否定できない、と法テラスは説明しています。
- 借金が全部なくなる? 免責されても、税金・養育費・罰金などは残ります。また、免責が許可されない場合もあります(上の節を参照)。
賃貸や住まいへの影響
持ち家は原則として手放すことになるため、破産の前後に引越しを考える人も多いと思います。賃貸住宅の入居審査は、家主や家賃保証会社がそれぞれの基準で判断します。破産したことが審査でどう扱われるかは、会社ごとに違い、一律には言えません。今住んでいる賃貸住宅に住み続けられるか、家賃の滞納があるときにどうなるかなども、契約の内容や事情によって変わるため、申立ての前に弁護士などに相談しておくと安心です。
相談できる窓口
- 法テラス(日本司法支援センター):法テラス・サポートダイヤル 0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)。経済的に余裕がない人は、条件を満たすと、無料の法律相談や弁護士・司法書士の費用の立替えの制度(民事法律扶助)を利用できます。
- 弁護士会の法律相談センター:日本弁護士連合会のページで全国の相談センターを探せます。関東の弁護士会の一覧は出典欄にあります。
- 司法書士会の相談センター:日本司法書士会連合会のページに、都道府県ごとの一覧があります。
裁判所は中立の立場なので、申立てをするかどうかの相談には応じていません。また、弁護士でない者が依頼を受けて債務整理などを行うことは法律で禁止されています(司法書士は一定の範囲で可能)。資格のない業者には頼まないようにしましょう(裁判所「破産・再生」、2026年10月1日確認)。
まとめ
自己破産をすると、破産手続の間は、居住地を離れるときの許可や、一部の資格の制限などがあります。多くの場合、免責許可の決定が確定すると復権し、資格の制限はなくなります。99万円までの現金など一定の財産は手元に残せますが、税金や養育費などは免責されません。信用情報の記録が残る期間は機関ごとに違い(CIC・JICCは契約終了後などから5年以内が基本、全国銀行個人信用情報センターは7年を超えない期間)、その後のローンの審査は各金融機関が判断します。戸籍や住民票に載ることはなく、選挙権も失いません。不安なことは、一人で抱えずに公的な窓口に相談してください。
出典(23件)
- 法務省「日本法令外国語訳データベース」破産法(第10条・第32条・第34条・第37条・第40条・第81条・第216条・第248条・第252条・第253条・第255条・第256条。同データベースの版:令和5年法律第53号までの改正、一部未施行の規定を含む。主な点は法テラス・東京地方裁判所の現行ページでも確認)https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/4895
- 法務省「日本法令外国語訳データベース」民事執行法(第131条。同データベースの版:令和元年法律第2号までの改正)https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/4900
- 法務省「日本法令外国語訳データベース」民事執行法施行令(第1条。同データベースの版:平成16年政令第419号までの改正)https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/3872
- 東京都住宅政策本部「免許を受けられない者(宅地建物取引業法第5条)」https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/juutakuseisaku/takken_menkyo01
- 埼玉県「宅地建物取引士資格登録の申請について」https://www.pref.saitama.lg.jp/a1106/takkenmenkyo/takkenshi_touroku.html
- 神奈川県警察「警備業認定申請手続」https://www.police.pref.kanagawa.jp/tetsuzuki/eigyokankei/keibi/mesd0018.html
- 警察庁「警備業法等の解釈運用基準について(通達)」(令和元年8月30日)https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/seiki/20190904seianki23.pdf
- 裁判所「破産・再生」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/hasan/index.html
- 東京地方裁判所民事第20部「よくある質問」https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section20/situmonn_tousannbu/index.html
- 法テラス「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-002.html
- 法テラス「自己破産の手続について教えてください。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-003.html
- 法テラス「自己破産をすると家族の財産や仕事に影響がありますか。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-007.html
- 法テラス「自己破産すると、職場の人や近所の人に知られてしまいますか。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-008.html
- 法テラス「免責許可決定が確定すると、すべての債権は免責されるのでしょうか。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-010.html
- 法テラス「民事法律扶助業務」https://www.houterasu.or.jp/site/about-houterasu/minjihouritsufujo.html
- CIC「自己破産の登録は何年間ですか?」https://www.cic.co.jp/faq/detail/cre/cre01/002585.html
- CIC「CICが保有する信用情報」https://www.cic.co.jp/confidence/posession.html
- 日本信用情報機構(JICC)「信用情報の内容と登録期間」https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info/registration
- 全国銀行協会 全国銀行個人信用情報センター「登録情報開示報告書の見方」https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/abstract/pcic/open/kaiji_viewpoint2025.pdf
- 全国銀行協会 全国銀行個人信用情報センター「一部情報の登録終了および登録期間の短縮について」(2022年11月4日)https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/info/18379/
- 日本弁護士連合会「全国の弁護士会の法律相談センター」https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/search/center.html
- 日本司法書士会連合会「司法書士総合相談センター 一覧」https://www.shiho-shoshi.or.jp/activity/consultation/center_list/
- 関東の弁護士会:東京弁護士会 https://www.toben.or.jp/ /第一東京弁護士会 https://www.ichiben.or.jp/ /第二東京弁護士会 https://niben.jp/ /神奈川県弁護士会 https://www.kanaben.or.jp/ /埼玉弁護士会 https://www.saiben.or.jp/ /千葉県弁護士会 https://www.chiba-ben.or.jp/ /茨城県弁護士会 https://www.ibaben.or.jp/ /栃木県弁護士会 https://www.tochiben.com/ /群馬弁護士会 https://www.gunben.or.jp/