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マンションの火災保険の相場と水災の要否|関東の地震保険料も比較
情報の確認日 約12分で読めます公開日 2026年9月29日
制度は変わることがあります。手続きの前に公式情報もご確認ください。
マンションを買うと、引き渡しまでに火災保険を決める必要があります。この記事では、はじめてマンションを買う人に向けて、火災保険の仕組み、水災補償をつけるかどうかの考え方、2024年10月に始まった水災の保険料の地域差、そして関東の地震保険料の違いを、公的な資料をもとに説明します。
- マンションの火災保険は「専有部分(自分の部屋)」と「家財」が中心。共用部分は管理組合が入る保険で確認する。
- 水災補償は、ハザードマップの浸水の深さと、住む階で考える。2024年10月から、水災の保険料は市区町村ごとに5段階に分かれた。
- 地震保険料は全社共通の基準で、都県と建物の構造で決まる。関東では東京・神奈川・千葉が最も高く、栃木・群馬は低い。
火災保険の仕組み:何に保険をかけるのか
「建物」と「家財」は別々に入る
火災保険は、保険をかける対象を「建物」と「家財」に分けて考えます。建物は壁・床・キッチンやお風呂などの設備、家財は家具・家電・衣類などです。建物だけ、家財だけ、両方、という選び方ができます。
マンションは「専有部分」にかける
マンションでは、自分が持っているのは専有部分(自分の部屋の内側)です。廊下・エレベーター・外壁などの共用部分は、管理組合がまとめて保険に入っているのが一般的です。どこまでが専有部分かは管理規約で決まっているので、購入前に管理規約や重要事項調査報告書で、共用部分の保険の内容とあわせて確認しましょう。
どんな損害が補償されるか
損害保険料率算出機構(損保料率機構)の説明では、火災保険は主に次のような損害に備える保険です。
- 火災・落雷・破裂・爆発:火事、雷による家電の故障、ガス爆発など
- 自然災害:台風(風災)、ひょう、大雪、洪水による床上浸水(水災)など
- その他:盗難、水道管からの水漏れ(水濡れ)、車の飛び込みなど
注意したいのは、地震・噴火・津波による損害は火災保険では補償されないことです。地震で起きた火事も同じです。これに備えるには、火災保険とセットで地震保険に入ります。
マンションでは、上の階からの水漏れや、自分の部屋からの水漏れで下の階に迷惑をかけることもあります。他人への賠償は「個人賠償責任」の特約で備えることが多いので、補償の中身を保険会社に確認しましょう。
水災補償は必要?ハザードマップと階数で考える
水災補償は、洪水・高潮・土砂崩れなどによる損害に備えるものです。マンションの高い階では「浸水しないから不要では」と考える人もいます。判断は人それぞれですが、次の2つの材料で考えると整理しやすくなります。
1. ハザードマップで浸水の深さを見る
物件の場所で、洪水・内水(まちに降った大雨があふれる浸水)・高潮によって、どのくらいの深さまで浸水する想定かを確認します。1階の床の高さ、地下の設備も気にしておきたい点です。
2. 住む階と、家財を置く場所を考える
浸水の深さの想定が、住む階の高さに届くかどうかが1つの目安です。たとえば、想定される浸水が深くても、高い階の部屋そのものが水につかる可能性は低くなります。一方、1階や半地下の部屋、トランクルームなど低い場所に家財を置く場合は、浸水の影響を受ける可能性があります。また、土砂崩れのリスクがある場所かどうかも確認しましょう。
- 浸水の想定が住む階に届く・低い階に住む → 水災補償の必要性は高い
- 浸水の想定がない、または高い階に住む → 水災補償を外す選択肢もある(保険料と安心感のバランスで判断)
- どちらでも、ハザードマップは「想定」であり、それ以上の災害も起こりうる
保険料を節約するために、水災補償を外すことを考える人もいます。外すかどうかは、ハザードマップだけでなく、家計への影響も含めて考えましょう。ここで示したのは考え方の例で、どちらが正しいという判断ではありません。
2024年10月から水災の保険料は市区町村ごとに5段階に
これまで、火災保険のうち水災の部分の保険料率は全国一律でした。損保料率機構は2023年6月、保険料のもとになる「参考純率」を次のように改定しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 全体の改定 | 住宅総合保険の参考純率を全国平均で13.0%引き上げ |
| 水災の区分 | 建物がある市区町村ごとに、1等地(最も安い)〜5等地(最も高い)の5区分 |
| 最も高い地域と低い地域の差 | 水災部分の保険料で約1.5倍(5等地÷1等地)。火災・風災なども合わせた保険料全体では約1.2倍 |
損保ジャパンや三井住友海上は、2024年10月1日以降に始まる契約から、この細分化を保険料に反映しています。ただし、参考純率は保険会社が使うかどうか、どう使うかを決める「参考」の数字です。実際の保険料や改定の時期、区分の呼び方(「等地」「区分」など)は、保険会社ごとに違います。
自分の物件がある市区町村の等地は、損保料率機構の「水災等地検索」で調べられます。注意点として、等地が低い(1等地に近い)のは「他の市区町村と比べてリスクが相対的に低い」という意味で、水災が起きないという意味ではありません。同じ市区町村の中でも、川沿いや低い土地かどうかで危険度は変わります。等地は保険料の目安、ハザードマップは自分の場所の危険度と、分けて見ましょう。
保険期間は最長5年
以前は火災保険を最長10年で契約できましたが、損保料率機構は2021年の改定で、参考純率を使える期間を最長10年から最長5年に短くしました。自然災害のリスクが今後大きく変わると見込まれ、長い期間のリスクを見積もるのが難しくなったためです。現在、新しく契約できる期間は最長5年が一般的です(具体的な期間は各社の商品で確認してください)。
住宅ローンは35年など長いので、5年ごとに更新が必要になります。更新のときは、その時点の保険料になる点を覚えておきましょう。
火災保険料の「相場」はどう考える?
「マンションの火災保険はいくら?」という疑問は多いのですが、保険会社ごとに保険料が違い、一律の相場はありません。保険料は、次の条件で大きく変わります。
- 所在地(都県、水災の等地)
- 建物の構造(マンションは多くが鉄筋コンクリート造などの耐火構造)と築年数
- 保険金額(建物・家財それぞれいくらにするか)
- つける補償(水災・盗難・破損など)と、自己負担額(免責金額)
- 保険期間(1年〜5年)と支払い方法
このため、公的に確認できる「相場」の金額はありません。自分の物件の条件で、複数の保険会社から見積もりを取って比べるのが確実です。購入時の諸費用全体に火災保険料を入れて考えたいときは、購入諸費用の計算で金額を入力してみてください。
地震保険の仕組みと関東の保険料
地震保険のルール
地震保険は法律で内容が決まっている公共性の高い保険で、政府も再保険という形で支えています。主なルールは次のとおりです。
- 火災保険とセットで入る(地震保険だけでは入れない)
- 保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲。上限は建物5,000万円、家財1,000万円
- 損害の程度に応じて支払われる:全損は保険金額の100%、大半損は60%、小半損は30%、一部損は5%(いずれも時価が上限)
地震保険で家を元どおりに建て直せるわけではありません。「生活を立て直すためのお金」と考えるとわかりやすいでしょう。
関東7都県の地震保険料(基本料率)
地震保険の保険料は、損保料率機構が算出する「基準料率」をもとにしており、現在すべての会員保険会社がこの基準料率を使っています。つまり、同じ条件ならどの保険会社で入っても地震保険料は基本的に同じです。保険料は建物のある都道府県と構造で決まります。
| 都県 | イ構造(鉄骨・コンクリート造など) | ロ構造(木造など) |
|---|---|---|
| 東京都 | 27,500円 | 41,100円 |
| 神奈川県 | 27,500円 | 41,100円 |
| 千葉県 | 27,500円 | 41,100円 |
| 埼玉県 | 26,500円 | 41,100円 |
| 茨城県 | 23,000円 | 41,100円 |
| 栃木県 | 7,300円 | 11,200円 |
| 群馬県 | 7,300円 | 11,200円 |
同じ関東でも、東京・神奈川・千葉のイ構造(27,500円)は、栃木・群馬(7,300円)の約3.8倍です。
使える割引と長期契約
建物の性能によって、次の割引のうち1つが使えます(重ねては使えません)。確認できる書類が必要です。
| 割引 | 割引率 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 免震建築物割引 | 50% | 住宅性能評価書などで免震建築物と確認できる |
| 耐震等級割引 | 等級3:50%/等級2:30%/等級1:10% | 住宅性能評価書などで耐震等級を確認できる |
| 耐震診断割引 | 10% | 耐震診断・耐震改修で現行の基準と同等と確認できる |
| 建築年割引 | 10% | 1981年6月1日以後に新築されたと登記簿などで確認できる |
地震保険も最長5年で契約でき、まとめて払うと「長期係数」で少し安くなります。5年契約の係数は4.70(1年分×4.70)です。
計算例(東京都のマンション、イ構造、地震保険金額1,000万円、建築年割引10%、5年一括)
27,500円 × 0.9 × 4.70 = 116,325円(5年分)
これは基準料率から計算した目安です。実際の保険料は、保険会社の見積もりで確認してください。
地震保険料は、所得税と住民税の「地震保険料控除」の対象です。控除の上限などは国税庁のページで確認できます。
関東の浸水リスクの調べ方
関東には、荒川・利根川・多摩川などの大きな川の流域や、東京湾沿いの低い土地が広がっています。物件の場所の浸水リスクは、次の公的なツールで調べられます。
重ねるハザードマップ(国土地理院)
住所を入れると、洪水・内水・高潮・津波・土砂災害のリスクを地図に重ねて表示できます。全国どこでも使えるので、最初に見るのにおすすめです。
浸水ナビ(国土地理院)
地点を選ぶと、どの川が氾濫したときに、何時間後に、どれくらいの深さまで浸水するかのシミュレーションを見られます。荒川・利根川・多摩川など、大きな川ごとに確認できます。
市区町村のハザードマップ
最も細かい情報は、物件がある市区町村のハザードマップです。避難場所もあわせて確認しましょう。東京東部の墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区(江東5区)は、荒川・江戸川の大規模な氾濫に備えた共同のハザードマップを公表しています。江東区によると、大規模水害で浸水する可能性がある区域に約250万人が住んでいます。
東京都の浸水予想区域図・高潮浸水想定区域図
東京都内なら、都の「水害リスク情報システム」で大雨による浸水の予想、港湾局・建設局のページで東京湾の高潮による浸水の想定を確認できます。
水災等地検索(損保料率機構)
市区町村の水災の等地(1〜5)を調べられます。保険料の目安として使いましょう。
なお、売買契約の前の重要事項説明では、水害ハザードマップ上の物件の位置が説明されます。説明を待つだけでなく、物件を探す段階から自分でも確認しておくと安心です。用語は用語集:ハザードマップも参考にしてください。
まとめ
マンションの火災保険は、専有部分と家財に何をどこまでかけるかを決めることから始まります。水災補償は、ハザードマップの浸水の深さと住む階を見て考えましょう。2024年10月から水災の保険料は市区町村ごとに5段階になり、保険期間は最長5年です。地震保険料は全社共通の基準で、関東では東京・神奈川・千葉が高く、栃木・群馬は低くなっています。保険の申し込み時期など、引き渡しまでの段取りは引き渡し前にやることチェックリストで確認できます。
更新履歴(2件)
- 図解を追加
- 一次情報で内容を確認し、水災の保険料の地域差と、2024年10月からの保険料への反映の説明を修正
出典(15件)
- 損害保険料率算出機構「火災保険参考純率」https://www.giroj.or.jp/ratemaking/fire/
- 損害保険料率算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」(2023年6月28日)https://www.giroj.or.jp/ratemaking/fire/pdf/202306_announcement.pdf
- 損害保険料率算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」(2021年6月16日)https://www.giroj.or.jp/ratemaking/fire/pdf/202105_announcement.pdf
- 損害保険料率算出機構「水災等地検索」https://www.giroj.or.jp/ratemaking/fire/touchi/
- 損害保険料率算出機構「地震保険基準料率」https://www.giroj.or.jp/ratemaking/earthquake/
- 損害保険料率算出機構「地震保険基準料率表」(2021年6月10日届出)https://www.giroj.or.jp/ratemaking/earthquake/pdf/202106_table.pdf
- 財務省「地震保険の基本料率(令和4年10月1日以降保険始期の地震保険契約)」https://www.mof.go.jp/policy/financial_system/earthquake_insurance/standard_premiums.html
- 損害保険ジャパン「水災料率の細分化について教えてください。」https://faq.sompo-japan.jp/sumai/faq_detail.html?id=80440
- 国税庁 No.1145 地震保険料控除 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1145.htm
- 国土地理院 ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)https://disaportal.gsi.go.jp/
- 国土地理院 地点別浸水シミュレーション検索システム(浸水ナビ)https://suiboumap.gsi.go.jp/
- 江東区「江東5区大規模水害ハザードマップ・江東5区大規模水害広域避難計画について」https://www.city.koto.lg.jp/057101/bosai/bosai-top/topics/20180822.html
- 東京都 水害リスク情報システム「浸水予想(想定)区域図」https://www.suigai-risk.metro.tokyo.lg.jp/shinsui/yosou/main.html
- 東京都港湾局「高潮浸水想定区域図」https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/jishin_kouwankyoku_oshirase/takashio/shinsuisoutei
- 三井住友海上「【火災保険】水災料率の細分化について教えてください。」https://faq2.ms-ins.com/faq/show/6362?category_id=140&site_domain=default